英会話=通訳ではないという考え方
『私は5才です。って英語で言ってごらん。』
『わかんない。』
『だってあなた英会話習ってるんでしょ?』
『うん、でもわかんない。』
お母さんは和文英訳を要求したのですから尋ねられた恵ちゃんはたまりません。
この恵ちゃん、実は外国人教師に
"How old are you?"と尋ねられると、
とても上手な発音で
"I'm five years old."
と即座にスラスラ答えられるのです。
子どもに英会話を習わせたいという親のなかには恵ちゃんのお母さんのような人が意外に多いのに驚かされます。
英語をいちいち日本語に訳したり、日本語を英語に訳したりせずにはいられない現象はやはり学校英語の影響でしょうか。
子供に英会話を教えるには、先ずこのような親の考え方から変えていかなければなりません。
日本語に訳しながら英会話を身に着けることが、どれだけ上達の弊害になっているかを親に伝えることも、英会話教師としての大切な仕事になっています。
「訳」にこだわらない指導法
あるレストランでアルバイトをしていた学生が遭遇した体験談に、二人の幼児を連れた家族がレストランに来たそうです。オーダーを取ろうとした時、子ども達が英語を話しているのに気が付いたので「みかんは英語で何って言うの?」と尋ねたところ即座に「ORANGE」と答えが返ってきたそうです。
その後で、今度は実際にみかんの実物を見せて、
「これ英語で何って言うの?」
と尋ねたところ、何と答えが返ってこなかったとのこと。訳は出来るが実物を見て英語で言えない状態を目の当たりにして「これでよいのか?」と思ったそうです。
マイクで実際にあった話ですが、ある幼児に母親が
「チョウチョって英語で何って言うの?」
「わかんない」
「だってあなたマイクで習ったでしょう?」
「でもわかんない」
そんな母娘の会話があった数日後、母親が掃除中、窓を開けるとチョウチョが家の中に飛び込んできたそうです。その時、この子は
「butterfly!」
と、きれいな発音で叫んだのです。この時、母親は日本語と英語が一致しない状景に驚いたと言うのです。
上の二つの実例から、「訳」を常に意識的に指導する方法とマイクのように「訳」にこだわらない指導法があるのです。